宿屋のオヤジの仕事

あるじの仕事は、

何事においても、すごくすごく丁寧。だからゆっくり。

私は何事においても、すごくすごくおおざっぱ。だから超特急。

そして、

宿屋のおやじは人前に出るのがかなり苦手なタイプ。

今でこそ、お客さまにばったり出会ってしまっても動揺しませんが(ちょっと大げさ)、

もっと若いころは、ホントに嫌がってました。

だから、お客さまに応対するのはほとんど私の仕事。

あるじは、といえば、台所で仕込みをしたり、

大工仕事をしたり、

冬には、屋根の上で雪掘りをしたりと、

思いつくことは、一人で黙々とできることばかり。

たまに、あるじとばったりと出会ったお客さまには、

‘あるじさん?

あらまぁ、あるじさんに会っちゃった!’

なんて、感激されてましたね。

そんな人前に出る仕事は苦手なあるじが、

毎朝必ずする仕事は、実は

玄関の掃除なんです。

それが終わると、宝巌堂の坂の掃除。

毎回坂を全部するわけではありませんが、

風が強くて杉っ葉がとっ散らかったような朝は

必ずします。

  この日は隠し撮り!

  風が強くて、杉っ葉や、種がたくさん落ちていた。

DSC01603.JPGDSC01604.JPG

玄関を掃除するということは、

人に会う確率も多いはず。

声をかけられる機会も多いはず。

それでも毎朝必ずしています。

それから、自在館さんに新聞を取りに行きます。

(栃尾又には新聞配達は来ないので、

毎朝路線バスで新聞が運ばれてきます)

ついつい忘れがちになる玄関の掃除。

でもよく考えてみれば、

お客さまとの最初の接点はここなのです。

林檎屋の隣は飯田屋という、どぜう屋さんですが、

‘オヤジの仕事はタレの管理と下足番’

が、先代からの教えだそう。

宝巌堂の場合は、

‘オヤジの仕事は玉子焼きと玄関掃除’

地味な仕事だけれど、

これがすべての仕事の基本なんだろうな。

お客さまと楽しく大笑いする私と

黙々と掃除に励むあるじ。

うーん、対象的だ!

どうぞこれからもよろしくお願いします。

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