新潟日報晴雨計’野菜天国うおぬま’

夏野菜の前に山菜の春。

木の芽（あけびの新芽）は、ハシリのころは

‘緑のダイヤモンド’

考えられないお値段がします。

木の芽を春一番に食するのは魚沼人の大きな楽しみ。

春が来たなと思うべな?♪、まさにこの歌です。

苦ーい、この木の芽は、苦味だけでなく

何とも言えない甘みが後から追ってきます。

オトナの味。

今年は雪が多く、しかも春が遅かったからでしょうか、

木の芽が今までで一番おいしいと感じます。

木の芽に限らずどの山菜もみな、すごく甘い。

雪がやっぱり魚沼にとってなくてはならないものでした。

 

このたびの晴雨計は

‘野菜天国うおぬま’

————————–

《野菜天国うおぬま》

 

子どもの頃、

近所の中華料理屋さんで必ず注文していたのは、

私が「にんじん」と呼んだ一品でした。

ニンジンは多めに、そして大きく、分厚く。

ニンジン嫌いの子どもが多い中、かなり異質な好みでした。

その料理の正式名称は「八宝菜」です。

この中のニンジンが大好物だったのです。

他に好きなものと言ったら、

キュウリの糠漬けやキャベツのサラダ、

トマトの丸かじり、肉なしの野菜炒め。

そう、私は野菜生活人間だったのです。

嫁に来たばかりの宝巌堂の料理は、

いわゆる「旅館料理」とは一線を画す手作り感満載の料理で、

献立は魚が中心。

調理場担当のじいじが亡くなってから、

私とあるじの二人で奮闘が始まりました。

あるじは魚料理の担当。

煮物や小鉢を受け持った私の好みで、

前菜はほぼ野菜だけになっていきました。

ちょうどその頃、

スーパーに並ぶ採れたての地場野菜に加え、

叔父さんが作り始めた枝豆に出合ったのです。

叔父は当初、収穫して持ってきてくれたのですが、

そのうちに食べる分を私が採りに行くようになりました。

畑の作業は嫌だったのに、

気付けば叔父と畑談義。

私の担当は収穫のみですが、枝豆畑にいることが

大きな楽しみになっていました。

その日の収穫したものは、その日に食べる、

というぜいたくなものでした。

直売所に地場野菜が並び始めると、仕入れは毎日。

叔父をはじめ、ご近所からも野菜がたくさん届きます。

どんな料理に変身させよう！　

並んだ色とりどりの野菜を見ているとわくわくします。

野菜に囲まれて、幸せを感じました。

「野菜がたくさん食べられてよかった」。

お客さまからそう言ってもらえることは私にとって何よりの言葉です。

魚沼はコシヒカリだけじゃなくて、

実は野菜がすごく美味しい。

でも、これが普通なので魚沼人は気が付いていないのです。

ニンジン以上に、今や私の大好物になった、

ゆうごう（夕顔）やなますうり（糸瓜）、ナス漬けなどは

東京にいた頃には食べたこともないし、見たこともありません。

その美味しさに出合ったときは、まさに感動でした。

夏野菜の登場が待ち遠しい私ですが、

その前にもう一つの楽しみが待っています。

魚沼の誇る山の野菜「山菜」です。

ばあばから伝授された山菜の下処理や料理も

すっかり得意になりました。

野菜大好きの私にとって、ここ魚沼はまさに天国だったのでした。

 

（おわり）

————————-

今日は新潟からトマトが届きました！

トマトのトマトソースかけ！

夏の一押しです！

あ、ちょっと気が早いか？