新潟日報晴雨計’温泉が教えてくれたこと’

‘今回の原稿を読んでいると、

ゆったりと湯につかりたくなりました’

と、担当の方からコメントをいただきました。

ありがたいことでした。

 

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《温泉が教えてくれたこと》

 

大きな声では言えませんが、

温泉宿の仕事をしていながら実は私、

お風呂嫌いなんです。

東京・浅草で育った私は、自宅から10メートル先の銭湯に

通っていました。でも、お風呂嫌いで,

銭湯で粗相するようなとんでもない子どもでした。

不思議なことに、温泉宿の跡取りのあるじも同様で、

お風呂嫌いの子だったようです。

温泉にじっと入ることなどできず、

遊んで騒いで疲れたころにはすっかり湯冷め。

そして、風邪をひくのが定番コース。

「風呂に入らんでも死なん」とばあちゃんに言われ、

これ幸いと風呂嫌いの道をまっしぐらだったそうです。

そのことはさておき、

「栃尾又の湯に入ると一年中、風邪をひかない」と

昔から言われています。

仕事の始まりの季節に農家の人たちが体作りのために湯治をし、

農作業が終わる季節になると、

体を休めるためにまた湯治に来ました。

こうして、元気で働ける体づくりをしたのです。

医者に容易に通えなかった時代。

栃尾又温泉は

病気にならないために入る?予防の温泉?としての役割がありました。

それは今も受け継がれています。

栃尾又の泉質はラジウム泉。

37度というほぼ体温と同じ温度の源泉です。

加熱を一切しないで入れる湯温。

初めはヒヤッとするのですが、じっくりと1?2時間入れば、

体の芯から温まります。

その温度は、まさに自然の奇跡といってもいいかもしれません。

栃尾又のもう一つの顔は?子宝の湯?です。

私もその昔、恩恵に預かった一人。

ある晩、いくら長時間入ってもまったく温まらず、

しまいにはおへその奥が引っ張られるような痛みを感じるようになりました。

あくる日もまた同じような痛さ。

その直後、妊娠が発覚したのですが、

病院に行くのが早すぎたほどでした。

言い方はよくないのですが、

栃尾又温泉は身体の悪いところを出す力があるともいわれています。

ですから、妊娠初期に限っては

長時間の入浴は避けた方がいいからだったのです。

まさに「温泉が教えてくれた」という感じでした。

産まれた我が娘はあきれるくらいの長風呂です。

さすが栃尾又温泉から授かった子どもですね。

4月です。

昨日数えたらフキノトウが15個も顔を出していました。

雪深い栃尾又もようやく、このぬる湯が気持ちいい春を迎えています。

 

《おわり》

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今年の春はようやく、5月の今頃になって

本格的にやってきたようです。

山菜のシーズンがいつもよりも長いか?

はたまた、あっという間に

夏になってしまうのか?

もう少し春を楽しみたいなぁ。

 
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