ご存知のとおり、
栃尾又温泉は共同浴場の形式をとっているため、
すべての宿のお客さんは同じ温泉に入ります。
(画像はおくの湯です。昨年9月新しく完成しました)
こういう形式は結構珍しいらしく、
その昔、今はもう放送終了した’旅サラダ’という番組で、
ピンクの電話のみやこさんに取材していただいたとき、
彼女が、
’露天風呂付の部屋とか、貸し切り温泉とか、
みんなそれぞれ、自分は自分というのが当然の風潮の中で、
3軒で同じ温泉を守ってやっているのがとても潔いですね。’
と言ってらしたのを思い出します。
そんなわけだから、
お客さんは温泉で一緒になります。
’あなたはどこに泊まってるの?’
と、私も若いころ、よく聞かれて、
はっきりと答えられんかったわー。
えーと、近所です、なんて答えてたな。
話題はいつの時代も同じようで、
その答えからいろいろと話に花が咲く。
『’宝巌堂に泊まっています’、と答えると、
あそこは宿泊代がお高いんでしょう?’
と、
言われるんです。』
と、お客様。
宝巌堂がまだこの建物になる前、
いやもっと前、私が嫁に来たばかりのころ、
忘れもしない、
湯治滞在1泊2日2食付きの宿泊料金は
5.500円でした!
そこから、温泉が共同利用のためその使用料と入湯税を引くと、
たぶん、実質4.800円くらいだったんじゃないかな?
まぁ、ね、
建物はおんぼろだったし、
隙間風も入るし、部屋に鍵もないし、トイレは共同だし、
お布団だって重かったよー。
バスタオルもなかったし、
おまけに寒かったんだわ??。石油ストーブとコタツだもの。
あー、懐かしい。
ただ、
お掃除と、お料理は、
そのころから自信がありました。
既製品は使わず、じいじとばあばが丁寧に作っていました。
しかも、旦那しょ気質のじいじだったから、
素材はとってもいいモノだった。
こんなに高いの使うの?
しかもねぇ、大盛りなんですわ。なんでもかんでも。
ぼろかったけれど
お掃除スタッフはいまも同じで、隅々まで行き届いていました。
新しい今現在の形になってから、早12年。
湯治滞在の料金は12.000円(+消費税、入湯税)。
となりました。
考えましたよー、この価格付け。
何しろ、小心者ですからね、
5.500円からの一気に12.000円!
お客様は果たして納得してくださるのだろうか、と。
そこで、何が昔と違うのか、分析しました。
①まずは建物。
改築ですが、本当にきれいにして頂きました。
窓は2重サッシに、ガスのFFファンヒーターとコタツに。これで暖かい!
隙間風も入りません。
このお部屋はいかにも昔チック。今の参の拾参番です。
改築後↓↓↓
同じお部屋ですよ、これ。
灰皿がまだ写っていますね、すみません!
?お布団は重さからようやく解放!
羽毛のかけ布団、オリジナルの枕。
そして何よりも、
毎回、掛けカバーは交換します。ここ重要!
②作務衣ができました。
もちろん浴衣もご用意しています。
③ドリップコーヒーと紅茶を客室に置きました。
何杯でもどうぞー!
④湯沸かしポットを置きました。すぐに沸く優れもの!
以前はお湯を沸かしてポットに詰めて、毎日2回運んでたなぁ。
⑤バスタオル、シーツ、浴衣などは
いつでも交換できるようにしました。
⑥温泉バッグをご用意しました。
バリ直送。大人気で毎年購入されるお客様も多いバッグです。
⑦お料理については、これはだいぶ変化しました。
素材を吟味し、調味料を吟味し、
(昔はあまり考えてなかったなぁ。)
今の季節人気の、’サツマイモの丸ごと揚げ’(おまかせプラン)
できる限り添加物のない、体にいいものを使用しています。
地元産のモノ、県産のモノ、百歩譲って国産のモノ、が基本です。
そして、湯治だからね、元気になってまた頑張らなくちゃ。
食はそれに大きな影響力を落とします。
この部分が一番大きな価格決定のポイントでもあります。
え、こんなに高いのを使うの??と、
今度は私があるじに思わず言ってしまったという。。。
カニやのどぐろなど、いわゆる豪華な食材はありませんけれど。
(にいがた和牛くらいでしょうか。単価的に高級食材と言われるものは)
ちなみに、今のおまかせプラン(18.000円)に当たる1泊2食のプランですが、
そのころ、9.800円だった。これ、税込み。
以前から来ていたあの辛口の妹も、何気に評価してくれたので
思わずニヤッとしてしまった。
そんなわけで、
料金は、今のようになりました。
少しでも居心地よく、そして、滞在にとって一番大切なこと、
’心も体もほどけるような空間’を作ります。
是非、一度体験してみてくださいね。
今日もありがとうございます。